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蓮舫騒動は現政権の急所になりうる

 蓮舫騒動というのは視点を変えれば、現政権にとって財務省書き換え問題どころではない大ごとになる要素を抱えていると感じます。
 繰り返しますが、「蓮舫氏にとって」ではなく、「現政権にとって」です。

 金田勝年法相の2016年10月18日の会見内容

www.youtube.com


は日台重籍者の「義務違反」を強烈に印象付けるものでした。しかしこの会見内容は、ファクトを一つ一つ検証していけば、過去から現在まで行われている実務上の扱いと矛盾します。実際には、
「日台重籍者は日本国籍単一の国籍として扱う」(但し、本人が『中国籍』を持っていると言って希望すれば日本国籍選択宣言を受け付ける)というのが実情。(議員さんは、国政調査権でも何でも使って、ここ詳しく調べてみればよいのです。)

 となると、法相会見は何だったのか?嘘を言った。もしくは、義務に当たらない人に、義務であるかのように印象を抱かせるための詭弁を弄した。ということになる。

 自分は別に野党押しではないけれど、語弊を恐れずに言えば
「なんでこんなに『オイシイねた』があるのに野党は上手く使わないんだ?」
と思ってしまう。受け身に回ってどうする、むしろ「攻める」ところだろうと。

 ドヤ顔で法務大臣が「義務違反」とのたもうた。結果的に野党党首を辞任に追い込んだ・・という経緯がある。

法務省のサイトに残るこの時の会見概要録を見ると
>「台湾出身の重国籍者については,法律の定める期限までに日本国籍の選択の宣言をし,従前の外国国籍の離脱に努めなければならず,期限後に,これらの義務を履行したとしても,それまでの間はこれらの国籍法上の義務に違反していたということになります。」
 この「台湾出身の重国籍者については」という表現は、まさに言葉遊びです。法の上で重国籍者なら、法の定める義務を負うという説明。なるほど嘘は言っていないかもしれない。
 但し、問題になっている「日台重籍者(以前の蓮舫氏を含む)」と、大臣の言った「台湾出身の重国籍者」という表現が指す範囲は一致しない。(蓮舫氏は決して「台湾出身の重国籍者」には当たらない)

 これって、とんでもない話じゃないですか。一般の日台重籍の立場の人を混乱させ、不安にさせてきたこと、この責任は誰がとるのですか?

国籍法上の国籍選択の規定と日台重籍者

国籍法上の国籍選択の規定

www.moj.go.jp

(国籍の選択)
第十四条 外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。

2 日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによつてする。

 外国国籍を選択する場合

外国の法例に基づき外国国籍の選択を行う方法

日本と同様の「国籍選択制度」を持つ外国の場合は、その外国の法例に基づいて、その外国国籍を選択し、その後日本側に「国籍喪失届」を提出する方法があります。

日本国籍を離脱する方法

「国籍離脱届」を提出する。

法務省:国籍離脱の届出

f:id:liuk:20180328134111j:plain

この場合には

「現に外国国籍を有することを証明するに足りる書面」

を求められていることに留意してください。

日本国籍を選択する場合

外国国籍の離脱をする方法

外国国籍を離脱しその後日本側に「外国国籍喪失届」を提出する。

選択宣言の手続きをする方法(戸籍法104条の2)

第一〇四条の二 国籍法第十四条第二項の規定による日本の国籍の選択の宣言は、その宣言をしようとする者が、その旨を届け出ることによつて、これをしなければならない。
2 届書には、その者が有する外国の国籍を記載しなければならない。

法務省:国籍選択の届出

f:id:liuk:20180328134250j:plain

いわゆる「国籍選択宣言」は「外国の国籍を離脱することによるほか」の選択肢で

国籍法14条2項後段の

戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによつてする。

というもの。

注目すべきは(必要な)添付書類について「ありません」となっていること。

「国籍離脱届」のときのような「現に外国国籍を有することを証明するに足りる書面」の要求をしていません。単に本人の自己申告に任せているわけです。

つまりある人が「日本国籍の選択宣言」を行って戸籍謄本にその旨が記載されたとしても、外国籍の確認をしているわけではない。当人が、国籍法上外国籍を併有する二重国籍者であったことの証明にはならないのです。

 

「日台重籍者」の選択の手続き

台湾籍の選択はできない

参考1

「日本国籍離脱」の手続きであれ、「日本国籍喪失」の手続きであれ、台湾「国籍」への帰化ないし選択のためということであれば、これを行うことが出来ないという取扱いだという。

多田 恵先生の 「二重国籍問題が導く日本版・台湾関係法」より  

www.ritouki.jp

参考2 当方の問い合わせ時の録音から(開始約一分のところ)

私)選択しなければいけないんじゃないかと言って制度を色々調べてみたら、台湾籍の方を選んで日本籍を抜けるというのはできないということのようなんですが?
担当者)そうなんですね。仮に二重国籍の方で日本国籍を抜ける場合は国籍離脱届というのを通常出すんですけれども、そうしても台湾の方の場合だと不受理になってしまいます。

www.youtube.com

日本国籍選択

台湾籍の離脱をする方法は受け付けられない

参)平成28年10月14日(金)法務大臣閣議後記者会見の概要より

>「一般論として,台湾当局発行の国籍喪失許可証が添付された外国国籍喪失届については,戸籍法第106条の外国国籍喪失届としては受理していません。

法務省:法務大臣閣議後記者会見の概要

日本国籍の選択宣言の手続きをする方法

可能です。但し、「現に保有する国籍」欄に「中国」と書いて提出する必要があります。

これは何の冗談か?

 上で見たように日台重籍者は「台湾籍を選択すること(日本国籍を喪失すること)」は日本側の手続き上、できません。選択ではなく一択です。

 その状況で、平成28年10月18日の記者会見で、金田法相は

一般論として,台湾出身の重国籍者については,法律の定める期限までに日本国籍の選択の宣言をし,これは国籍法第14条第1項,従前の外国国籍の離脱に努めなければならない,これは国籍法第16条第1項ということになります。期限後にこれらの義務を履行したとしても,それまでの間は,これらの国籍法上の義務に違反していたことになります。

法務省:法務大臣閣議後記者会見の概要

 と述べています。これがきっかけとなって、現在、多くの日台重籍者が悩んでいます。

「義務ならば果たさなければならないが、もしどうしても選ばなければならないというなら台湾を選びたい」

「しかし選びようがない。なのに選択が義務だといわれる」

こんなバカげた話があるでしょうか。

 私の場合はそこで、法務局に問い合わせをしたのですが、先の録音の通り、

※「日本の方では台湾の事を国として認めているわけではないので、台湾国籍と言うのは日本側の扱いにはそもそもない。(日台重籍者については)日本国籍単一の国籍を持つと言う風に扱われる」」
※「(選択の)手続きをする必要はないし、しなかったからと言って何らかの咎めがあるわけではない」

と説明された次第です。

 いったい、日台重籍者について「国籍選択義務」とはいったい何だったのか? 法務大臣の見解はどういう意図だったのか?このまま放置できるものではありません。

「台湾出身の重国籍者については」という最低の誤誘導(ミスリード)

 2016年10月18日の金田法相の発言はよく読むと、「台湾出身の重国籍者」というきわめて奇妙な言い回しをしている。

 国籍法14条の条文は「外国の国籍を有する日本国民は」です。ここは、日台重籍の当事者に誤解のないように書くならば「台湾の籍を有する日本国民」は、と説明すべきところです。

 金田法相はこれを「台湾出身の重国籍者」と発言することで、通常の「日台重籍」が法上の重国籍にあたるかどうか判断を曖昧にしたまま、選択義務は負うかのように印象付けたことになります。

 私はこのひっかけ表現に気づいたとき、まさに、はらわたが煮えくり返る思いでした。

 台湾出身だろうがなんだろうが法上の「重国籍者」であれば国籍法14条の選択義務を負う。法論理的には金田法相は嘘を言っていることにはならないかもしれません、

 しかし、法務局の電話説明のように日台重籍者が「日本国籍単一の国籍を持つ」として扱われる、つまりそもそも「重国籍者」扱いでないとなればどういうことか。

 野党第一党党首にダメージを負わせようと意図したものかどうかはわかりませんが、結果的には、一般の日台重籍者を巻き込んで、いたずらに不安に陥れ、その弊害が続いている。その責任は重大だと言わざるを得ません。

 一刻も早く、金田法相の選択義務発言は、その妥当性を再検証されるべきでしょう。

日台重籍状態の発生

1)両親の国籍を引き継ぐことによるケース

1985年 日本国籍法改正(父系主義→父母両系主義、国籍選択制度)
・・父:台湾人 母:日本人 で重籍が生じるようになる
2000年 台湾国籍法改正(父系主義→父母両系主義)
・・父:日本人 母:台湾人 でも重籍が生じるようになる

2)日本人の台湾への帰化によるケース(日台間の特殊事情)

・台湾の国籍法上は、原国籍の離脱を「帰化」の条件としている。
・日本は台湾へ帰化することを理由としては日本国籍の離脱を認めない。
・2000年の台湾国籍法改正以前は、日本人が台湾籍を取得する手段はなかった。

2000年 台湾国籍法改正(「原国籍の離脱」の帰化要件の緩和)

「国籍法」改正点
2000年2月の台湾の「国籍法」改正により、日本人が台湾で帰化して永住することができるようになりました。日台断交以後、両国の国籍法の規定する帰化手続の矛盾と、日本の「一つの中国」政策のため、日本人は中華民国国籍を取得することができませんでした。
現時点では、日本政府は、中華民国の国籍を取得することを理由に日本の国籍を喪失することを許していません。中華民国の国籍を一国家の国籍と認識していないため、日本人が無国籍となることを防ぐためとの理由からです。従って、日本人にとって、台湾の国籍法第9条にいう「原国籍喪失証明書」を日本政府から取得することはできません。しかし、同国籍法第9条但し書きにいう、これに代る日本の「国籍喪失届け不受理証明書」を取得すれば、中華民国の帰化申請ができるようになりました。
この2000年の台湾の国籍法の重要な改正点の一つは、日本人のように従来帰化できなかった外国人の帰化が可能になったことです。国籍法第9条に原国籍喪失に関する例外規定が但し書きとして追加され、中華民国への帰化申請に必要な「原国籍喪失証明書」の提出が困難で有る場合は、それが自己の理由であるものでないことを証明することで、帰化の申請が可能になりました。

※)居留問題を考える会のサイトより
https://sites.google.com/site/kyorumondai/home/kika

 この手続きで台湾籍を取得した日本人も、「日台重籍」状態になる。

注)日本の国籍法11条では

>日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。

とあるため、日本人が外国に帰化した場合は、自動的に日本国籍を喪失する扱いである。

 しかし、日本側は台湾を国として扱わないため、帰化により台湾籍を取った日本人が、日本側に「国籍喪失届」を提出しても受理されない。結果、事実上の重籍状態になる。

「フェイクニュース」を語る資格

青木文鷹氏が今日(3月24日)、「フェイクニュースはなぜ拡散されるのか?」というセミナーをやるらしいので驚いた。青木氏は、昨年7月、当方がツイートで

>「国籍選択」は、日台間の場合、非対称(日本籍は選択できるが、台湾籍は選択できない)扱いです。

 と書いたところ、これを取り上げ、
「台湾側が帰化認めてるから日本国籍放棄できる」という飛躍した論理で「間違い」と断言してみせた方だ。

 (※実際の扱いは次の通り、
・日本人が台湾に帰化する場合、日本籍は放棄できない。但し日本側は、日本の国籍離脱届の不受理証明書を出す。それを台湾側に提出すると、台湾籍を取得できる。日本籍離脱が認められない結果、日台重籍になる。)

 当方は、ファクトとして、「日本政府が国籍離脱を認めない」と書いている櫻井よしこ氏の記事を示した。

 またnor 氏が、多田恵先生の法務省に問い合わせた際の記事

>「法務省に確認してみた。(中略)「日本国籍離脱」の手続きであれ、「日本国籍喪失」の手続きであれ、台湾「国籍」への帰化ないし選択のためということであれば、これを行うことが出来ないという取扱いだという」(多田 恵「日台共栄」10月号(第40号)

 を示した。

 これに対して青木氏は「友人」からの伝聞を持ち出し、法務局に電話取材すると宣言。さらに

>(蓮舫氏の問題は「台湾籍放棄」で日本国籍放棄とは別物なのに、なんでウチがこんな事せにゃならんのかという思いはある)

などと恨み節。

 (いやいや待ってください、私のツイートをFF外からいきなり「間違い」と断言してきたのは青木氏の方なのですから、こちらがファクトを示した以上、それを否定する根拠があるならそれを示してもらわないと。)

結局その後、宣言したはずの「法務局への問い合わせ」も行った形跡がない。

 仕方がないので、当方で「法務局への問い合わせ」を行った。その際の音声がこちら。

 

www.youtube.com

※「日本の方では台湾の事を国として認めているわけではないので、台湾国籍と言うのは日本側の扱いにはそもそもない。(日台重籍者については)日本国籍単一の国籍を持つと言う風に扱われる」」
※「(選択の)手続きをする必要はないし、しなかったからと言って何らかの咎めがあるわけではない」と説明されています。

 

ファクトに対して誠実に向き合う姿勢を示してはじめて「フェイクニュース」を語る資格があるのではないか?と私は思う次第です。

法務省は日本人の「台湾への帰化」を認めないのか?

>法務省も台湾への帰化は認めないとかいう変な法解釈はやめて暖かく送り出してあげたい。

この妙ちくりんな文は八幡和郎氏の記事(2016年12月13日)

agora-web.jp

 に出てくるものだが、一般の読者はピンと来ないのではないか?

 法務省が(日本国民の)「台湾への帰化は認めない」と言っているのか?といえばそんなことは全くない。在台湾の日本大使館に相当する 日本台湾交流協会のウェブサイトのFAQページには

>Q8.日本人ですが、台湾への帰化を希望しています。手続きを教えてください。

→帰化のための手続きは駐日台北経済文化代表事務所(電話:03-3280-7811)若しくは台湾の帰化申請機関である内政部戸政司国籍行政科(電話台北+886-2-2356-5096(若しくは5097))にお問い合わせ下さい。

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台湾との窓口 公益財団法人日本台湾交流協会 東京本部: よくある質問: 国際結婚、出産関係

という説明がある。法務省が「台湾への帰化を認めない」のであれば、交流協会のウェブサイトに堂々と、こんな案内があるはずもなかろう。

 実際には、認めていないのは「台湾籍取得に伴い」「日本国籍を離脱すること」である。台湾籍を取得しても、日本側では台湾籍を外国の国籍として扱っていないので、日本国籍離脱は認めませんよ、という話だ。台湾籍を取ることそれ自体に何らかの制約を課しているわけではない。

だから、台湾籍を取った日本人は、本人に日本籍離脱の意志があろうともそれにかかわりなく日本国籍は維持される。(日本国政府の政策の問題である。)

ではそうした立場の人に残された「日本国籍」に何らかの瑕疵があるか。例えば日本で公職に就くことに制約を受けるかどうか?(道義上の問題はさておき)現行法上、制約はなんら存在しないだろう。

 ではなぜ八幡氏は「法務省」は「日本国籍の離脱を認めない」と書かずに「台湾への帰化を認めない」などと、説明を改変したのか?

八幡氏は2017年07月17日のアゴラ記事で

agora-web.jp

>特に、国籍選択は非常に強い義務で、放置しておくと、日本国籍を剥奪される可能性もあり得る。

>ただ、戸籍謄本を公開したとしても、台湾籍離脱したことの証明にはならない。国籍選択をしておけば、二重国籍のままでも、現在の法律では、国籍剥奪される可能性がなくなるというだけだ。

 と書いている。八幡氏の頭の中では

「国籍選択をしていなかった」という蓮舫は

「日本国籍を剥奪されそうなケシカラン状態にあった」

という、一般受けしやすそうなストーリーを考えていたのだろう。

 事実は、日本政府の方針のため、当事者が「台湾籍を選びたかろうが」「台湾に帰化手続きを取ろうが」「日本国籍を離脱することを認めない」というものだから、これをきちんと示すと、話のつじつまが合わなくなる。そこで、
「法務省」は「日本国籍を離脱を認めない」
と書くべきところを
「台湾への帰化を認めない」

などと書き換えたのであろう。つじつま合わせでこのように事実の説明を改変していくのは元官僚としていかがなものか?と思ったのだが、ご本人は最近こんな記事を書いていた。

agora-web.jp

まあ、言葉もない。

「実務上、台湾籍だと法務省は『重国籍』と取り扱わない」 ・・田上嘉一弁護士とのやりとりから

 一昨年秋からの蓮舫騒動。「国籍法違反だ」として蓮舫氏批判論に乗った「有識者」は数知れないですが、実務上の台湾の扱いをどこまで了解したうえで批判をしていたのかは疑問です。実際には「有識者」も多くの「誤解」を残してしているのではないか。「誤解」が解ければ「蓮舫批判」もまた違ったものになるのではないか?と思わせる事例がありました。

 弁護士の田上嘉一先生は、2017/7/20(木)、YahooNewsに掲載した記事
「【蓮舫議員二重国籍疑惑】本当の問題はどこにあるのか」

news.yahoo.co.jp

の「国籍の選択をしていなかった蓮舫氏」の段で

>「(中略)蓮舫氏が本来国籍選択を行うはずだった22歳となる1989年11月から昨年10月までの実に27年もの間、この義務を怠っていたこととなるのです。14条は16条の努力義務とは違い、あくまで当該行為を行うか行わないかですから、これを怠っていることは明白な法律違反といえるでしょう。」

と書いていらっしゃいます。国籍法14条の手続き(国籍選択)が、日台重籍者にとって「義務である」という前提で論を展開していらっしゃったわけですね。

============

また、2017年7月19日のツイッターでは

>「問題は、あくまで蓮舫氏がこの14条の手続きを怠っていたことにあるのですよ。」

 とも書いていらっしゃいましたので、私からツイッターの方にコメントさせてもらいました。

>田上先生、私は近親に日台重籍者がいる台湾籍の者です。国籍法14条の選択義務について東京法務局に確認したところ、「(日台重籍者は)日本国籍単一の国籍を持つとして扱われる」との回答でした。(音声あり) https://youtu.be/nsVLbr2ZEx8
 よって特に手続するつもりはありませんが、問題ありますか?

 

 これに対し、


このやり取りの後、別のツイートにて田上先生は

>実務上、台湾籍だと法務省は重国籍と取り扱わないですよ。

 と書いていらっしゃいました。さすがに有識者だと感心した次第です。
欲を言えば、YahooNewsの既公開記事に補遺をつけて一般日台重籍者が誤解を受けないような配慮をお願いしたいところではありましたが・・。)

「実務上、台湾籍だと法務省は重国籍と取り扱わない」というのは、蓮舫騒動にかかわる巷の議論の前提をひっくり返すものです。もし、「単に批判のための批判をしたいだけ」なのではないならば、有益な議論につなげるためにこうした確認をきちんとすることを、他の「有識者」の皆さんにはお願いしたいものです。

 

中国が二重国籍容認に政策転換しそうだ

www.ettoday.net

補足)この件を報じている別のソース三件
政协委员建议改《国籍法》 争夺人才和资源
http://news.sina.com.cn/sf/news/fzrd/2018-03-05/doc-ifxipenm9642736.shtml

取得外国国籍不等于不爱国
http://news.dwnews.com/china/news/2018-03-04/60043684.html

政协委员建议改国籍法:取消自动丧失中国国籍规定
http://www.chinesenzherald.co.nz/news/international/chinese-overseas/

 

 こちらの記事によると、中国までもが、事実上、二重国籍を容認するようになりそうです。全国政治協商会議の委員が、外国国籍を取得しても中国籍を保有できるようにする国籍法改正を提案したというもの。かの国で政府が事前了解していない提案が公に出てくるはずもなく、近いうちに決まる可能性が高いとみるべきでしょう。


・現行の中国国籍法9条では、外国に住む国民が自ら願って外国の国籍を取得した場合、即中国国籍を「自動喪失」する。・・としているそうです。(これは、「自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。」としている日本の国籍法11条と同様ですね。)
 このたびの弁護士協会副会長である朱征夫委員提案の国籍法改正案では、これを改正して、外国籍をとっても中国籍を維持できるようにするもの。

記事中、朱征夫氏の言として
・外国籍を取ることと、国を愛していないこととはイコールではない。多くの中国人が外国籍を取得しているが祖国への思いがないということではなく、仕事やその他の原因によるものだ。

・この法律が制定された当時は国の実力も弱かった、今は状況が変わった。世界の中で特に西側先進国はみな、人材資源争奪をしており、国籍はすでに、人材資源争奪の重要手段になっている。(他国籍を取った国民について)自動的に国籍を喪失させることは、人材をよそへあげてしまうことになり、国家の長期的な利益にそぐわない。

・・ということを書いているようです

 

かつて、例の「八幡和郎」氏が

agora-web.jp

 

なる記事を書いていたが、この中に出てくる「地図」もすでに古い。

「多重国籍を認めていない国家」として赤に塗られている、スペイン、ドイツ、韓国、は、すでに認めるようになっています。さらに、中国が「認める」側になれば「地図」の印象は一変しますね。