氣象報告常常不準

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「国籍選択」と台湾籍(2)

「国籍選択」と台湾籍(1) - 氣象報告常常不準 の続き

台湾籍の場合

イ)「台湾籍だけを持っている人」が日本に帰化手続きをする場合
→台湾籍の放棄を求められ、手続き後は日本籍のみになる。

 

ロ)「日本籍だけを持っている人」が台湾に帰化手続きをする場合

→日本籍は離脱できない。台湾籍の付与により『日台重籍』になる。(台湾籍は国籍法11条『日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。』の『外国籍』としては扱われていない)

多田恵先生の「二重国籍問題が導く日本版・台湾関係法戸籍を管掌する法務省の恣意的な解釈を排すために」【機関誌「日台共栄」10月号(第40号)】
http://www.ritouki.jp/wp-content/uploads/2016/10/40-5.pdf

の「日本政府の台湾という政治的実体についての取扱い」によると

《(中略)『日本国籍離脱』の手続きであれ『日本国籍喪失』の手続きであれ、台湾『国籍』への帰化ないし選択のためということであれば、これを行うことが出来ないという取り扱いだという。
 その理由は、国籍法の条文が「外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を離脱することができる(十三条)」というふうに「外国の国籍を有する」という条件であるところ、台湾(中華民国)は日本が承認している政府ではないため、それが証明書を出すところの「国籍」は「外国の国籍」にあたらないためだという。》(p21)

 この、台湾籍を「外国の国籍」にあたらない、とする法務省の説明は、一般にはほとんど知られてはいまい。
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平成28年10月18日(火)の法務大臣の記者会見で

>台湾出身の重国籍者については,法律の定める期限までに日本国籍の選択の宣言をし,これは国籍法第14条第1項,従前の外国国籍の離脱に努めなければならない,これは国籍法第16条第1項ということになります。期限後にこれらの義務を履行したとしても,それまでの間は,これらの国籍法上の義務に違反していたことになります。

http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00823.html

 との説明があった。これは、日台重籍の解消を

イ)(台湾から日本への帰化)への擬制、により説明したものと言える。

ただ、「選択」の説明である以上は、

ロ)(日本から台湾への帰化)

に擬制した扱いについてもきちんと説明すべきだろう。

 「日本籍、台湾籍、どちらか選べと言われれば台湾籍を選びたい」と思うことが「違法」であるはずもない。台湾籍を選ぶ方法を手続き上閉ざした状態で、「選択」を「義務」だとして迫るのは、制度として重大な欠陥をはらむものだ。