氣象報告常常不準

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台湾籍とパレスチナ籍

 「台湾籍」が国籍法上「外国籍」にあたるかどうかに関して、制度上いろいろ矛盾があるが『中国との関係があるのでやむを得ない』という人がいる。

 ただ、私自身は『中国』は、実はあまり関係ないと思っている。というのは、日本の国籍法上「台湾籍」の人に生じる矛盾は『パレスチナ籍』の人にも全く同じように発生しているからだ。パレスチナ籍の扱いでイスラエルが横やりを入れてくる云々の話は聞かない。

 国と扱われていない台湾やパレスチナのパスポートが、日本において有効に扱われる根拠は、『出入国管理及び難民認定法(以下入管法)の第二条第五号』の 旅券の定義で

イ 日本国政府、日本国政府の承認した外国政府又は権限のある国際機関の発行した旅券又は難民旅行証明書その他当該旅券に代わる証明書(日本国領事官等の発行した渡航証明書を含む。)

に加えて、

ロ 政令で定める地域の権限のある機関の発行したイに掲げる文書に相当する文書 

があり、さらに入管法施行令の1条に

出入国管理及び難民認定法 (以下「法」という。)第二条第五号 ロの政令で定める地域は、台湾並びにヨルダン川西岸地区及びガザ地区とする。

と、あるからだ。(ちなみに「台湾籍」「台湾パスポート」という言い方をすると「中華民国でしょ」と指摘してくださる方がいるが、日本側の法令ではこのように「台湾」と書かれている。)

 パレスチナは、国籍法上、以前は「完全に」無国籍者の扱いで、パレスチナパスポートを持つ両親から日本国内で生まれた子供は、国籍法2条の「日本で生まれた場合において、父母が国籍を有しないとき。」に該当するものとして、日本国籍が付与されていた。ところが2007年10月以降は認められなくなった。それまでに日本国籍を認められてきたのは14人。
 将来この14人にも「国籍選択」を要求するのか?選ぶならパレスチナを選びたいと言ったら日本籍を離脱させるのか? 日台の場合と全く同じ問題がある。

参)第168回国会 280 パレスチナ人の子どもの国籍等に関する質問主意書
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/168280.htm

四 パレスチナ人父母の子どもの国籍について
 (1) 国籍法二条三号は、「日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき」、子どもは日本国民とする。従来、日本でパレスチナ人父母から生まれた子どもは、この規定にもとづき日本国籍を認められてきた。その数は十四人とされている。
  本年十月三日の通知により、この取扱いを変更し、このような子どもに日本国籍を認めないとした理由は何か。

(回答) 従来、パレスチナ人については、国籍法上、国籍を有しない者として取り扱ってきたが、パレスチナは国家として承認されていないものの、最近のパレスチナ地域における諸情勢、国家に近い形態が整備されているパレスチナ暫定自治政府(以下「パレスチナ自治政府」という。)の体制整備等の現状にかんがみると、パレスチナ人を国籍を有しない者と取り扱い、御指摘のような子に日本国籍を取得させる必要はないものと考えられることから、御指摘の通知により取扱いを変更したものである。