法務省は日本人の「台湾への帰化」を認めないのか?
>法務省も台湾への帰化は認めないとかいう変な法解釈はやめて暖かく送り出してあげたい。
この妙ちくりんな文は八幡和郎氏の記事(2016年12月13日)
に出てくるものだが、一般の読者はピンと来ないのではないか?
法務省が(日本国民の)「台湾への帰化は認めない」と言っているのか?といえばそんなことは全くない。在台湾の日本大使館に相当する 日本台湾交流協会のウェブサイトのFAQページには
>Q8.日本人ですが、台湾への帰化を希望しています。手続きを教えてください。
→帰化のための手続きは駐日台北経済文化代表事務所(電話:03-3280-7811)若しくは台湾の帰化申請機関である内政部戸政司国籍行政科(電話台北+886-2-2356-5096(若しくは5097))にお問い合わせ下さい。
台湾との窓口 公益財団法人日本台湾交流協会 東京本部: よくある質問: 国際結婚、出産関係
という説明がある。法務省が「台湾への帰化を認めない」のであれば、交流協会のウェブサイトに堂々と、こんな案内があるはずもなかろう。
実際には、認めていないのは「台湾籍取得に伴い」「日本国籍を離脱すること」である。台湾籍を取得しても、日本側では台湾籍を外国の国籍として扱っていないので、日本国籍離脱は認めませんよ、という話だ。台湾籍を取ることそれ自体に何らかの制約を課しているわけではない。
だから、台湾籍を取った日本人は、本人に日本籍離脱の意志があろうともそれにかかわりなく日本国籍は維持される。(日本国政府の政策の問題である。)
ではそうした立場の人に残された「日本国籍」に何らかの瑕疵があるか。例えば日本で公職に就くことに制約を受けるかどうか?(道義上の問題はさておき)現行法上、制約はなんら存在しないだろう。
ではなぜ八幡氏は「法務省」は「日本国籍の離脱を認めない」と書かずに「台湾への帰化を認めない」などと、説明を改変したのか?
八幡氏は2017年07月17日のアゴラ記事で
>特に、国籍選択は非常に強い義務で、放置しておくと、日本国籍を剥奪される可能性もあり得る。
>ただ、戸籍謄本を公開したとしても、台湾籍離脱したことの証明にはならない。国籍選択をしておけば、二重国籍のままでも、現在の法律では、国籍剥奪される可能性がなくなるというだけだ。
と書いている。八幡氏の頭の中では
「国籍選択をしていなかった」という蓮舫は
「日本国籍を剥奪されそうなケシカラン状態にあった」
という、一般受けしやすそうなストーリーを考えていたのだろう。
事実は、日本政府の方針のため、当事者が「台湾籍を選びたかろうが」「台湾に帰化手続きを取ろうが」「日本国籍を離脱することを認めない」というものだから、これをきちんと示すと、話のつじつまが合わなくなる。そこで、
「法務省」は「日本国籍を離脱を認めない」
と書くべきところを
「台湾への帰化を認めない」
などと書き換えたのであろう。つじつま合わせでこのように事実の説明を改変していくのは元官僚としていかがなものか?と思ったのだが、ご本人は最近こんな記事を書いていた。
まあ、言葉もない。