氣象報告常常不準

台湾生活。華語・台湾語学習。システム関連の話題など。

「箱」と「盒」

 頼まれものの菓子(八個入りで200元(約800円))を買いに菓子屋へ。メモを片手に商品を探していると、店員が「見せてみな」というので手渡す。

 すると店員の態度が急に変わった。ニコニコしながら、
「是非試食して」(一つ頂いた)
「お茶もあるから飲んで」(申し訳ないからと断った)
「折角だからもう一つ試食して」(申し訳ないからと断った)
と驚くほどの歓待ぶり。

店員「今用意しますからねぇ・・ではお会計を、4800元(約19000円)です。」
私「はぁ?一つですよ、一つ。200元でしょ?」

・・・店員が凍り付くのが分かった。

私のメモには「○○菓子 『一箱』」と。
こちら(台湾)ではそういう場合は「箱」ではなく「盒」の字を使うのですね。箱というと24「盒」入り段ボール「箱」のことらしい。

八個入りを買っただけで、二個も試食を勧めてくれるなんて、なんて太っ腹なお店なんだと思ったら、なるほどガッテン(笑)。

台湾の「大帰化」制度

 台湾で「特殊な功績」がある場合に帰化手続きで「原国籍を離脱しなくても」帰化が認められる制度は今年から始まり、シスター、神父、や医師など、既に多数の該当者が出ているそうだ。

jp.taiwantoday.tw

japan.cna.com.tw

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(同様の制度は、日本にも既にある。国籍法9条(大帰化)がこれに相当するが、日本の場合は実際に適用された事例がない。)

 

(導入時のニュース)

japan.cna.com.tw

 気になるのは、ニュースになるのが欧米豪出身者ばかりであること。日本との歴史的結びつきを考えれば、「日本人」こそ、一番多く対象者になっていそうなものだと思う。

 私が疑問なのは、
・本当に事例がないのか?
・実際には事例があるのに、該当者が公になることを嫌っているのか?
 と書くと「日本は、日本の側が二重国籍を認めていないから」できないだろ?というツッコミが来そう。だけれど、「台湾籍の取得」では、日本の国籍法11条
「日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。」を『適用していない』。

・「できる」立場でありながら「できない」と思い込んでいるのか?
・「既にやっている」けれども公にならないのか?

 該当者が機会喪失にならないように、公式情報が欲しいところです。

「日台重籍」・・無理筋の国籍選択義務

 蓮舫氏の騒動のあおりで、一般に、日本籍と台湾籍を併せ持つ人(以下日台重籍者)にも国籍法上の選択義務がある、という認識が広まった。
 「にも」と書いたのは、台湾は国ではないと扱われる以上、日台重籍は国籍法上の二重国籍にはならないとする説も一部にはあるからだ。*1

 だが、2016年10月に当時の金田法務大臣が記者会見で、一般に日台重籍者も選択義務を負うと受け取れる説明をした*2 ことで、「義務はある」として一応決着した形になっている。少なくとも一般には、そう思われている。

 

 国籍法の条文を眺めてみると、14条の「義務」は、13条の「権利」と対になっていることが分かる。

国籍法13条
『外国の国籍を有する日本国民』は△△することができる
外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を離脱することができる。
国籍法14条
『外国の国籍を有する日本国民』は○○しなければならない
外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が20歳に達する以前であるときは22歳に達するまでに、その時が20歳に達した後であるときはその時から2年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。

 蓮舫氏に関わる報道では、日台重籍者が『外国の国籍を有する日本国民』にあたることは当然という前提の下、14条の義務だけがクローズアップされていった。では13条の「権利」は日台重籍者については実際、どう扱われているのか?

 条文には「できる」とあっても実は「できない」。
 これは、ほかでもない八幡和郎氏の著書「蓮舫「二重国籍」のデタラメ」(p227)にて、法務省の見解が次のように紹介されている。*3

『ところが、日台二重国籍の人が台湾籍を選び日本国籍を離脱しようとするのは認めていないのである。その理由は、国籍法の条文が、「外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を離脱することができる(第十三条)」となっているように、「外国の国籍を有する」という条件のもと、台湾(中華民国)は日本が承認している国家ではないため、それが証明書を出すところの「国籍」は「外国の国籍」にあたらないからだという。』

 法務省は『台湾の「国籍」は「外国の国籍」に「あたらない」から「外国の国籍を有する日本国民」についての条文(13条)を適用しない』と説明してきたわけだ。

 日台重籍者について、13条では『外国の国籍を有する日本国民』には、「あたらない」といい、14条では「あたる」と扱っていることになる。この扱いの違いは説明されておらず、『二重基準』だとしか言えまい。

 筆者はこれを、「権利を認めず義務だけ課すのはけしからん」というような感情論で述べているのではない。日本籍の離脱を認めない一方で、国籍選択を義務とすれば、実際に次のような不都合が出る。

 日台重籍者のうち、特に台湾に居住する立場を考えてほしい。ここでは蓮舫氏のことは忘れて、例えば、福原愛さん、江宏傑さんご夫妻の間に生まれるお子さんが、台湾で育って、22歳になった、というケースを想像してほしい。
 台湾での国民としての権利を留保するため、台湾籍を残し、日本籍を離脱しようとすると「台湾籍は国籍ではないので選べない」「日本籍は離脱できない」と日本側からは説明される。かといって放っておけば、日台重籍のままで「選択義務を果たしていない」ことになる。この状況は全く道理に合わない。

 この矛盾を解消する方策は次の二つのいずれかだろう。
1.国籍法上では、一貫して台湾籍を『外国の国籍』と扱うことにする。14条の選択義務を課す一方、13条で台湾籍を選択して日本籍を離脱することを認める。

2.国籍法上では、一貫して台湾籍を『外国の国籍』と扱わないことにする。従来通り、13条で台湾籍を選択して日本籍を離脱することは認めないが、14条の選択義務は課さない。

 

 台湾籍の扱いは、しばしば、「歴史的経緯」や「一つの中国」問題などが持ち出され複雑になりがちだ。そうした背景理解も大切ではあるが、まずは、目の前の手続きの明らかな矛盾を解消してほしいと思う。

 

(補足)

 国籍法13条に関する法務省の説明に関しては、対比を際立たせるため、蓮舫氏を二重国籍と批判してきた八幡和郎氏の著書からあえて引用したが、この記述とほぼ同一の内容が、亜細亜大学非常勤講師の 多田恵氏の論考中*4に見いだせる。

 それぞれの発行日の点から、多田氏の論考が先行しており、オリジナルであることはあきらかで、八幡和郎氏は多田氏の著作を一部改変して利用しているものと思われる。このため、多田氏の文献も引用するとともに、比較結果を次に示す。

 

左:多田恵「二重国籍問題が導く日本版・台湾関係法」(2016年10月18日) http://www.ritouki.jp/index.php/info/20161019/
右:八幡和郎「蓮舫『二重国籍』のデタラメ」p227(2017年1月9日第一刷)
(テキスト比較ツール difff《デュフフ》ver.6.1使用)

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*1:八幡和郎「台湾は国でなく二重国籍もないという説の誤り」アゴラ 2016年09月03日
http://agora-web.jp/archives/2021214.html

*2:法務省 法務大臣閣議後記者会見の概要 平成28年10月18日(火)
「一般論として,台湾出身の重国籍者については,法律の定める期限までに日本国籍の選択の宣言をし,これは国籍法第14条第1項,従前の外国国籍の離脱に努めなければならない,これは国籍法第16条第1項ということになります。期限後にこれらの義務を履行したとしても,それまでの間は,これらの国籍法上の義務に違反していたことになります。」
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00823.html

*3:八幡和郎 「蓮舫「二重国籍」のデタラメ」(p227)(飛鳥新社 2017年1月9日第一刷)

*4:多田恵「二重国籍問題が導く日本版・台湾関係法」(2016年10月18日) http://www.ritouki.jp/index.php/info/20161019/

日台重籍問題:福原愛さんのお子さんで考える

 日台重籍問題では、蓮舫氏がその代名詞のようになってしまったのが残念。制度を考えるうえでは、蓮舫氏をとにかく一旦忘れてもらって、例えば、福原愛・江宏傑ご夫妻の間に生まれるお子さん、の立場で考えてみてもらえると随分と理解が違ってくるのではないか?と思う。

日台両方の籍を出生により取得して、重籍者になる。仮に台湾で成長して22歳になったとする、日本の国籍法では「国籍選択義務」が発生するらしいことを知る。住んでいる台湾の籍を選択し、日本籍を離脱しようとすると「台湾籍は国籍ではないので選べない」「日本籍は離脱できない」と説明される。

かといって放っておこうとすると、「選択義務を果たしていない」などと後ろ指をさされる。
・・・という状況は、まったくもって道理にあわない。

蓮舫さんだと共感できない人も、愛ちゃんのお子さんを考えれば、「制度がおかしい、改正しなきゃ」と思ってもらえるのではないだろうか。

二重国籍批判で無視された「台湾籍の事情」

 1972年の日中国交回復に伴う日台断交以降、台湾居住の日台カップルの日本人配偶者、特に「日本人妻」のケースなどで「台湾に帰化したい」と希望する人が少なからずいたわけですが、手続の方法がありませんでした。

 台湾の国籍法は、帰化の要件として『元の外国籍の離脱』を要求しています。この点では日本の国籍法と変わりません。今でも、決して二重国籍を積極的に認めているわけではありません。

台湾国籍法(現行法)
第九條 外國人依第三條至第七條申請歸化者,應提出喪失其原有國籍之證明。但能提出因非可歸責當事人事由,致無法取得該證明並經外交機關查證屬實者,不在此限

・「外国人で帰化申請する人は、元の国籍の喪失証明を提出してください。」
・「但し、本人の責めに帰すべからざる事由でその証明が取れないことを外交機関が確認すれば、この限りではありません。」
というものです。

 2000年以前はこの条文は前半部分
 「外国人で帰化申請する人は、元の国籍の喪失証明を提出してください。」だけでした。

(2023年2月7日補足:2000年以前は帰化時に、元の国籍の喪失証明は要求されていましたが条文上にはなかったようです。参考 立法院法律系統 )

 日本は、台湾を国とあつかわないため、「台湾籍を取得するため」という理由では日本政府は、日本国籍の喪失証明を発行しません。
ですから「日本人妻」のようなケースでは元の国籍(日本国籍)の喪失証明を台湾政府に提出できず、台湾への帰化手続きができなかったわけです。

 その後「日本人妻」の要望に対応したのは台湾です。2000年の台湾国籍法改正では条文の後半部分
 「但し、本人の責めに帰すべからざる事由でその証明が取れないことを外交機関が確認すれば、この限りではありません。」
が追加されました。
 これで例えば、台湾籍を取りたい台湾在住の「日本人妻」の要望をかなえられるようになりました。その後は、帰化する人の手続きは次のような流れです。

 ・日本の役所に「台湾籍を取るので日本国籍の喪失証明を出すよう」申請する。
 ・日本の役所は、申請を受理しない(喪失証明を出さない)が、その際に「不受理証明書」を発行する。
 ・台湾側に、この「不受理証明書」を提出すると、「本人の責めに帰すべからざる事由」ということが認定され、日本国籍を喪失していなくても台湾籍を取得できる。
 ・日本は台湾籍を国籍法上の「外国の国籍」とは見做さず、台湾籍取得によっては、国籍法11条「日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。」を適用しない。よって日本国籍も維持される。

 ちょっと変な気もしますが、これが「お約束」です。結果的に、台湾に帰化した日本人は「日台重籍」状態になります。

 これは、台湾法に立てばたしかに「二重国籍」です。ただ、「元の国籍が離脱できないのでやむを得ない」というものです。
 一方、日本法に立てば「日本籍のみ」です。台湾籍は国籍法上の「外国の国籍」とは見做されないので、問題ないという扱いです。

 こうした「日台重籍」にかかわる「背景事情」「お約束」は、一般には理解されにくいと思いますが、現にこれまで運用されてきたわけですから、日本の国籍法上で日台重籍者に対して、「二重国籍」だと問題視するのは、いわば不意討ちであり、いまさらそれはないと感じます。

・金田前法務大臣などは、この辺の背景事情を本当に十分理解したうえで記者会見していたのかな?と疑問に思います。おそらくわかってなかったんではないかと。

・一方、八幡和郎氏は、こうした背景事情まで明らかに全部わかった上で、二重国籍攻撃をやっている。そこが極めて残念だなと思うわけです。

参考)居留問題を考える会
https://sites.google.com/site/kyorumondai/home/kika

免税店「例外の例外」

 台湾に住んで4年以上になるが、たまに用事で日本に行くこともある。楽しみの一つは買い物。しかし、折角だからと『免税店』でたくさん買い物したあげく、精算時に免税手続きを拒否されてがっかりさせられることが時々ある。
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 法律上免税になるのは「(日本の)非居住者」のみ。「居住者」は免税措置は受けられない。

・外国人は「原則、非居住者扱い」だが、日本に勤務する場合など一部例外ケースは居住者扱いで免税にならない。

・日本人は「原則、居住者扱い」だが、海外勤務者や、海外居住2年以上の者などは非居住者扱いで免税になる。

国のルールを解説している観光庁のサイトはこちら。
https://www.mlit.go.jp/kankocho/tax-free/about.html

 さて、私の場合「外国人」であるし、(今は)日本で勤務していないし、(今は)住民票も抜いているし、台湾居住かれこれ4年だもの、絶対免税だよね、と思っていると、冒頭にあるように「拒否」される。

 拒否の理由はパスポートの入国時スタンプが「再入国」であることだという。私は5年間マルチ再入国許可を取って台湾に来ているので、今のところまだ日本の居留資格が切れておらず、日本に行くと、「再入国」のスタンプが押される。これで店頭では、「ダメ」という判断になる。

>「※日本入国時の旅券にある上陸許可の証印が「再入国」でないもの。」
http://www.departinfo.com/pc/images/pdf/tax_refund_english.pdf

 ただこれは、国のルールではない。「日本百貨店協会」が、『店頭での判断を簡単にするために』勝手に決めたもの。観光庁のサイトには書かれていない業界ルールである。

 こんな業界ルールはおかしいのでは?私のケースでも免税扱いになるべきでは?と2015年2月、横浜の関東運輸局国際観光課に相談に行った。

担当のAさん、親身になって対応してくださり、国税庁に問い合わせの上メールをくださった

先ほどご来庁頂きお問い合わせを承りました、関東運輸局国際観光課のAと申します。

外国籍の方で「再入国の証印が押されている場合」の取扱いにつきまして、国税庁に確認したところ、

一概に再入国の証印が押されている方を免税対象から除外するものではない、という回答を得ました。

基本的には、下記国税庁ホームページ記載のとおり、入国及び出国の証印日付を確認しながら、
非居住者に該当するか否かを判断するとのことです。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/menzei/pdf/05.pdf
〈直接PDFに飛びます。上記Q&Aの「問3」をご参照下さい〉

さらには電話も下さり、「店の人が納得しないなら、代わって私から説明しますからご遠慮なく電話してください」との『神対応!』

これで今後はもう大丈夫と思っていたのですが2016年1月の訪日時に、また免税拒否されて、Aさんにヘルプを求めたところ・・

お世話になっております。関東運輸局観光企画課のBと申します。

A宛に送付いただきました免税手続きのご質問ですが、7月より担当課が変更となりましたので、私(B)よりお返事させていただきます。

「消費税免税制度」を扱う消費税法については、所管が国税庁となっております。そのため、免税の可否を判断するのも国税庁の窓口となる税務署の判断ということになっております。

私どもも国税庁の作成するQ&Aを参照して回答しておりますが、そこに記載のないような質問になりますと、直接税務署にお問い合わせいただいております。

今回いただきました、「再入国によって『居住者』か『非居住者』のどちらにあたるか」の質問につきましても、私どもで判断ができませんので、直接税務署にお問い合わせいただきたくお願いいたします。

大変お手数ですが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。 

 これで元の木阿弥です。結局このときは国税庁にかけあう時間もなく、免税措置を受けられませんでした。引継ぎしておいてほしかったなぁ。

 つい先日、私と同じ立場の知人がやはり同じ目にあって「8パーセント(消費税分)損した」とガッカリしていた。折角のたまの日本旅行。このガッカリはなくしたいものです。

(補足)
・「法律上のの原則」はAさんが教えてくれたように
『入国及び出国の証印日付を確認しながら、非居住者に該当するか否かを判断する』というもの。
・ただ、小売店店舗の店員に、実質そこまでの判断はできないとして、「日本百貨店協会」は独自業界ルールで、法律上は免税を受けられるはずの私のような立場まで、一律に免税拒否にしているのが現状。
・これを「違法な差別」だと百貨店協会を糾弾しても、現場としては対応しきれないだろう。
・現実的には国税庁ないし観光庁が判断して「免税になるお墨付き」のような書類をあらかじめ発行してくれるべきだと思います。 

 

蓮舫氏への攻撃で恥をかかされているのは『国』だ

 蓮舫氏が民進党代表を辞任した。八幡和郎氏をはじめとする「二重国籍」攻撃を仕掛けていた側は得意満面のご様子。

 しかし一連の攻撃では、蓮舫氏個人が受けた傷よりも、「法治国家としての日本」が受けた傷の方が、はるかに大きいのではないかと感じる。

 「政治家」の「道義的責任についての追及」や「不誠実さの批判」は、有権者がどんどんやれば良い。「台湾籍を抜かずに日本国の政治家をしていたこと」が道義上けしからんと思うなら、追及すればよい。「知らなかった」という説明が不誠実と思うなら、その点を批判したらよい。そこまでは筆者も全く異論はない。

 但し、そのことと、八幡和郎氏らが主張してきた日台重籍者に対する「国籍法違反」という批判は話が別だ。「法違反」との語を使った時点で対象が公職者に限った話ではなくなるし、制度全体が問われる話になる。

 「選択義務」というが、そもそも台湾籍を選んで日本籍を離脱する選択は許可されない。このことは八幡氏が著書「蓮舫『二重国籍』のデタラメ」(2017年1月9日第一刷)で

p227
 ところが、日台二重国籍の人が台湾籍を選び日本国籍を離脱しようとするのは認めていないのである。その理由は、国籍法の条文が、「外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を離脱することができる(第十三条)」となっているように、「外国の国籍を有する」という条件のもと、台湾(中華民国)は日本が承認している国家ではないため、それが証明書を出すところの「国籍」は「外国の国籍」にあたらないからだという。

とある通りだ。

 この『特殊事情』を承知していれば、一般に、日台重籍者に国籍選択を迫ることがいかに不合理で、人をバカにした話か分かりそうなものだ。

 「選択」と言うからには選択肢と手続が『複数』示されるべきだろう。
 そしてそれぞれ選んだ場合に、どのような結果につながるか、十分説明されたうえで、当人の自由意志でいずれか一つを選ぶ、そうあるべきではないか? 事は「国籍」に関わることである。選択肢の案内もされずに「義務だ、選べ」と言われて、通常は選べるものではない。

 日台重籍者について公式には案内されていない「選択肢」を、整理すると次のようになる。台湾籍を選ぼう(日本籍を離脱しよう)とすると、台湾籍は「外国の国籍」にあたらないから日本籍の離脱はダメだと言われる(上記八幡氏著作引用部)。かといって放置していれば選択義務を果たしていないことになるそうだ。(添付図参照)
 これは制度として、全く破綻しており、日台重籍者に選択義務違反を問うのは無理な話だ。筆者は幾度かフェイスブックの八幡和郎氏のタイムラインにて、このことを指摘したが「そこは論点ではない」『蓮舫のケースには関係ない』などとして、当方の指摘は、ことごとく八幡氏に「削除」された。
 しかし、「法違反」という論点を出してきたのは八幡氏である。その論点ではそもそも『蓮舫のケースに限った話ではない』のである。

 2016年10月18日、当時の金田法務大臣の会見では日台重籍者が法律の定める期限までに日本国籍を選択しないと国籍法上の義務違反になると説明し、「法違反」を主張する攻撃者にお墨付きを与えることになった。
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00823.html

 国として、矛盾する選択義務を日台重籍者に強要することになる。これは法治国家日本の「恥」になるのではないかと懸念する。

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