氣象報告常常不準

台湾生活。華語・台湾語学習。システム関連の話題など。

法務省は日台重籍者の扱いについて系統立てた丁寧な説明をしてほしい(2)

 「日台重籍は日本側では日本国籍単一国籍扱い」
 「義務対象ではない」
 「手続きをする必要はない」

このように法務局で説明されてきた内容の正式な確認を法務省に求めたところ
「所定の期限までにいずれかの国籍を選択する義務があります」
と真逆の回答を法務省は出してきたわけです。そもそも「選択が義務」だというのであれば、

・どういう人が義務の対象にあたり、
・手続きの選択肢にはどういうものがあり
・それぞれ、の手続きを行った場合の効果は何か?

というところについては、その義務を主張する側(法務省側)が、丁寧に説明するのが筋でしょう。

 日台重籍者に関し、選択義務を課すという話が決定的に矛盾しているのは、「いずれかの国籍を選択」などと言いつつ、実務上は「台湾籍を選択する(日本籍を抜ける)」という手続きが認められていない点です。

 亜細亜大学非常勤講師で、日本李登輝友の会の理事でもいらっしゃる多田恵先生の論考
「二重国籍問題が導く日本版・台湾関係法」

二重国籍問題が導く日本版・台湾関係法 多田 恵(本会理事・亜細亜大学非常勤講師) | 日本李登輝友の会 愛知県支部

には次の記述が出てきます。多田先生が法務省に確認した結果として、

>「日本国籍離脱」の手続きであれ、「日本国籍喪失」の手続きであれ、台湾「国籍」への帰化ないし選択のためということであれば、これを行うことが出来ないという取扱いだという。
 その理由は、国籍法の条文が「外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を離脱することができる(13条)」というふうに「外国の国籍を有する」という条件であるところ、台湾(中華民国)は日本が承認している政府ではないため、それが証明書を出すところの「国籍」は「外国の国籍」にあたらないためだという。

 つまり、
・日本人の「台湾籍への帰化」のための「日本国籍離脱」は認めていない
・日台重籍者の「台湾籍の選択」のための「日本国籍離脱」も認めていない
こうした取り扱いがなされている事実がある。

 では「もし台湾と日本のどちらかを選ばなければならないとしたら、どちらかというと台湾を選びたい」という重籍者はどうしたらよいのか?
 東京法務局の私への回答
「日台重籍者に選択義務があるのか東京法務局の国籍相談に聞いてみた」:

liuk.hatenablog.com

ではこの点について

>事実上申請を出しようがない。出しても不受理になる。そういう意味ではそもそも台湾国籍だけを選択するというのはできない状態。なのでもちろん日本の方では単一国籍として見る。

>台湾の国籍を選ぼうとしても、その手続きである日本籍離脱届は不受理になる。よって、そういった申請を出す必要はない。また、出さなかったからと言って何らかの咎めがあるわけではない。

と説明されていました。この説明が間違いだというのであれば、ではどう扱われるのかということは法務省に説明していただく以外ないでしょう。
 選択の手段がないのに選択をしろというのですか?と法務省には問いたい。

 法は人に不可能を強いるものではないはずです。